• TOP
  • 導入事例
  • 組織力向上にはコミュニケーションへの投資が不可欠 〜リンクアンドモチベーション取締役 麻野氏が18年の経験をもとに語る勝ち残る企業の共通点〜

2018.05.14

組織力向上にはコミュニケーションへの投資が不可欠 〜リンクアンドモチベーション取締役 麻野氏が18年の経験をもとに語る勝ち残る企業の共通点〜

  • Facebook
  • Twitter

こんにちは!Unipos PRの柳川です。

本日は株式会社リンクアンドモチベーション取締役の麻野様に、なぜ今「エンゲージメント」を高める努力が経営において不可欠なのか、またエンゲージメントを高める上で有効な投資とは何か、産業構造やミレニアル世代の価値観の変化から解説していただきました。

 

<トピックス>

1.労働市場で選ばれなければ、企業は生き残れない

2.成果を出す社員に還元すべきは高い給与と地位だけではない

3.コミュニケーションへの投資を成果に結びつけるために必要なのは、「診断」と「変革」

4.エンゲージメントを高めるコミュニケーションの最先端は、オフラインに止まらない

 

労働市場で選ばれなければ、企業は生き残れない

 

なぜ今、経営においてモチベーションやエンゲージメントといった指標の重要性が叫ばれているのでしょうか。

 

麻野様(以下、麻野)

エンゲージメントが向上すると追って利益も伸びる、という因果関係が数値として示されているからです。弊社が提供している「モチベーションクラウド」というサービスでは、エンゲージメント(*)度合を定量化・可視化できるのですが、その中でエンゲージメントスコアという数値が算出されます。弊社が蓄積してきたデータベースをもとに調査を行った結果、エンゲージメントスコアを上げると、利益が上がるということが、明らかになっています。

*エンゲージメント…企業と社員の相互理解・相思相愛度合い (仕事への情熱や企業への愛着を表す)

 

リンクアンドモチベーション社 エンゲージメントスコアデータより引用

 

これだけエンゲージメントスコアと利益が連動する背景を教えていただけますでしょうか。

 

麻野

第二次産業である製造業などが国の成長を支えていた時代は、商品を作るためには工場が必要であり、工場を建てるために多額の資金が必要でした。そのため、商品市場で顧客に選ばれるためには、まず資本市場で株主・投資家や金融機関に選ばれる必要がありました。

しかし現代においては、サービス業や小売業といった第三次産業のGDPに占めるシェアが7割を超えています。商品を作るために人材が必要なサービス業では、労働市場において人材に選ばれることが欠かせません。人材に選ばれれば、顧客にも選ばれるからです。

 

 

産業構造の変化に加えて、人材の流動化が進んでいる現代においては、以前にも増して、「人材からいかにして選ばれるか」を考えることの重要性が増しています。あらゆる会社が、ダイレクト・リクルーティングやリファラル・リクルーティングなどの普及もあり、他社から常に自社の従業員を狙われる、口説かれ時代になってきています。従業員に選ばれ続けるためにも、エンゲージメントを高める努力をすることが求められる時代なのです。

 

エンゲージメントを高める経営をする企業が生き残るというわけですね。

 

成果を出す社員に還元すべきは高い給与と地位だけではない

 

エンゲージメントを高める方法をうかがう前に、働く人のモチベーションの変化について、お聞かせください。

 

麻野

エンゲル係数が高かった高度経済成長期は、今よりも「食べるために働く」という側面が強く、給与や昇進といった報酬がモチベーションの源泉でした。

しかし、社会全体が豊かになった今では、働く上で重視するものとして、給与や昇進といった「金銭報酬」「地位報酬」に加えて、仕事のやりがいや自己成長、仲間との繋がりといった「意味報酬」を挙げる人が多くいます

 

働く上で重視するのは、「給与」「昇進」に加えて「仕事のやりがい」や「仲間との繋がり」

 

すなわち、頑張っている社員に高い給与や地位を与えておけばよかった時代は終わった、ということです。ところが、経営のパラダイムは50年前から変わっていません。

 

「金銭・地位報酬」の仕組みは確立されている一方で、「意味報酬」を従業員に還元する制度や仕組みづくりが追いついていないということですね。しかし、金銭や地位とは異なり、「意味報酬」はその還元方法が分かりづらいように思います。

 

麻野

意味報酬はコミュニケーションによってもたらされます。つまり、モチベーションは多くの部分がコミュニケーションによって左右されます

リンクアンドモチベーションでも、創業時から1400名規模になる現在に至るまで、一貫して社内コミュニケーションへ大きな投資をし続けています。代表的なものは3か月に一度、全国の拠点から全メンバーを集めて行う「総会」です。

 

表彰の様子。全員の前で、エモーショナルな手紙風の表彰状を会長や社長から渡される。

 

アワードの受賞者に対して、本人の苦悩や努力への賞賛を込めたかなりエモーショナルな手紙風の賞状を上司が読み上げて渡したり、家族や同僚からの動画メッセージが流れたりと、その場にいるだけでモチベーションが上がるような仕掛けを施したコンテンツがたくさんあります。

総会には、今でも会長の小笹がコミットして、全体設計から賞状の文言に至るまで一つ一つのコンテンツに、丁寧にフィードバックしています。総会後のアンケートにはほぼ全員が回答しますが、小笹はその全てに目を通し、次の総会に反映しています。

また、エンゲージメントを高めるのは上司だけではありません。例えば、もし表彰された人がその場で行う4分間スピーチが、その場にいる社員のエンゲージメントを高めることに寄与していなかった内容であれば、その後にフィードバックされることもあるほどです。エンゲージメントを高めるスピーチができないのであれば、表彰されるにはまだ早かったということになるのです。

 

「総会」の他にも、年に一度の「History BOOK」の発行や、月に一度経営課題に切り込むwebメディア「LM TIMES」、一週間に一度社内のホットトピックを紹介する動画「LM・ビジネス・サテライト(LBS)」といった様々な時間軸のコミュニケーション施策を組み合わせて行っている。

 

1000名を超えてもなお、全社総会をオリジナルのコンテンツで3か月に一度行うのは、かなり大きな投資かと思います。投資を続ける理由を教えていただけますでしょうか。

 

麻野

一度だけ、リーマンショック時に、お恥ずかしながらコミュニケーション費用を削ってしまった時がありました。結果、業績が思うように上がってこなかったという苦い経験があります。一方、そんな苦しい時も、社員旅行などを辞めずにエンゲージメントあげる努力をし続けて、景気回復後に一気に市場シェア1位をとった企業もあります。

エンゲージメントを高める投資が経営においていかに重要であるか、20年弱の経験から身にしみて分かっているのです。エンゲージメントを大きく高める上で、福利厚生よりもコミュニケーションの方が、ROIが高いということも。

 

コミュニケーションへの投資が経営においていかに重要であるか、20年弱の経験から身にしみて分かっている

 

コミュニケーションへの投資を成果に結びつけるために必要なのは、「診断」と「変革」

 

コミュニケーションというのは昇給や昇進とは異なり、年に数回ではなく企業活動の中で絶えず行われるものですよね。何がエンゲージメントを高めたのか、どのように判断されているのでしょうか。

 

麻野

「モチベーションクラウド」を用いた「診断」によってPDCAを回しています。ダイエットも、始めるにあたってまずは体重計に乗り現状の体重を知る必要がありますし、受験勉強も模試を受けて偏差値を知るところから始まります。

エンゲージメント向上施策も、勘や経験に頼ってやっていたところから、きちんと定期的に計測しスコア化することで、「変革」を起こし、成果に結びつけていくのです。

例えば「理念への共感が低い」と分かれば、次の総会の表彰では、受賞者が理念を深く理解して行動していたことをしっかり褒めよう、といったアクションへとつながります。

 

エンゲージメントを上げるためには、まず「診断」から

 

エンゲージメントはどのように計測し、見つけた課題にどのように優先順位をつけていくのでしょうか。

 

麻野

エンゲージメントをPhilosophy(目標の魅力:理念・戦略)・Profession(活動の魅力:事業・仕事)・People(風土の魅力:人材・風土)・Privilege(待遇の魅力:制度・報酬)の4要素に分解し、匿名のアンケートをとって社員の期待値と満足度の乖離を見た上で、打ち手を考えます。

乖離の大きな項目について、満足度を上げるか期待値を下げるかは、何で束ねるかという会社の戦略によって変わります。例えば、労働集約型のビジネスであり、一人一人のスキルが利益の源泉である外資系コンサルティング会社では、「Profession」の満足度を高め、採用時に「People」への期待値を下げるコミュニケーションを取ることもあります。

リンクアンドモチベーションでは、組織づくりにおいて「最高の作品づくり」を目指しているので、すべての要素の満足度を高めていきます。そして、ほとんどの要素は、コミュニケーションによって高まるのです。

 

エンゲージメントに含まれる4つのPの満足度は、ほとんどがコミュニケーションによって高まる

エンゲージメントを高めるコミュニケーションの最先端は、オフラインに止まらない

 

では最後に、エンゲージメントを高めるコミュニケーション施策について、実際に貴社で実践されている施策を交えてお聞かせください。

 

麻野

課題に応じて変化すると思いますが、例えば若手の多いチームで思うように評価やフィードバックの効果が出ないならば、彼らに合わせたコミュニケーションを増やす必要があるでしょう。

1980年代から2000年代初頭までに生まれたミレニアル世代は、FacebookやInstagramに何かを投稿した数秒後には「いいね」がもらえるのが当たり前である時代の中で育ちました。そのため、仕事であげた成果が認められるのが半年に1度だと、彼らの欲求を満たし次の行動へ導くためには遅すぎます

私の部署ではピアボーナス「Unipos」を導入し、社員同士がお互いに感謝や称賛のメッセージを互いの成果に対してリアルタイムに送り合っています。このように部署毎に、その世代や課題感に合わせてコミュニケーションを設計することも必要でしょう。

実際に「モチベーションクラウド」をご利用いただいていて、「Unipos」を活用してエンゲージメントスコアを高めている企業様もいらっしゃいます

 

実際の麻野様のUniposアプリ画面

実際の麻野様のUniposアプリ画面

 

これまでは、サーベイで診断を行った後に、人事制度をつくり、理念を策定し、人材教育をし、人材採用をするといったリアルな施策のみを実行することが当たり前でした。しかし、これからは「変革」の部分も「Unipos」のようにデジタル化していくことが予想されます。

 

理念浸透のために年に一度発行する「History BOOK」や「DNA BOOK」、総会内容を軸に発行される「LM JOURNAL」など、リアルでのコミュニケーションチャネルも様々。コンテンツはその時々の課題に応じて変えていくそう。

 

HRツールの利用効果を高めるために必要な、活用のポイントを教えていただけますでしょうか。

 

麻野

HRツールを最大限活用するためには、経営者や人事が目的に応じて現場を巻き込む戦略的な活用が必要です。理念の浸透に課題を感じたら、「Unipos」の投稿に行動指針のハッシュタグをつけることをルール化し、高いポイントを獲得した人を表彰するといった活用方法が考えられます。

社内のコミュニケーションを効率化するための「Slack」も、使い方によってはメンバーの意欲を高めることに繋がります。「Unipos」をシステム連携するのも一つの手です。

リアルな施策にしても、HRツールを活用したオンライン施策にしても、コミュニケーションに戦略的に投資することが、エンゲージメントを高め、勝ち残る経営をする上では不可欠でしょう。

 

大変学びの多いお話、ありがとうございました。

 

株式会社リンクアンドモチベーション

取締役

麻野 耕司(あさの こうじ)様

慶應義塾大学法学部卒業後、株式会社リンクアンドモチベーション入社。

2010年、中小ベンチャー企業向け組織人事コンサルティング部門の執行役員に当時最年少で着任。同社最大の事業へと成長させる。2013年、成長ベンチャー企業向け投資事業立ち上げ。HR Techを中心にビズリーチ、ネオキャリア、あしたのチーム、Fond, Inc.(旧AnyPerk)など20社近くに投資。2016年、組織改善クラウド 「モチベーションクラウド」立ち上げ。国内HR Techの牽引役として注目を集めている。2018年、株式会社リンクアンドモチベーション取締役就任。著書に「すべての組織は変えられる〜好調な企業はなぜ『ヒト』に投資するのか〜」(PHPビジネス新書)。

 


株式会社リンクアンドモチベーション

■代表取締役会長:小笹芳央

■資本金:13億8,061万円

■本社:東京都中央区

■創業:2000年

■事業内容:

  • モチベーションマネジメント事業(育成・制度・風土支援)
  • エントリーマネジメント事業(採用・動員支援)
  • インキュベーション事業