
2020.08.04
GMOメディア流・ボトムアップでコミュニケーションを活性化させる仕掛けとは
GMOメディア株式会社
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2018.09.28
Uniposで“バリュー”が根付く―― 社員同士で送る“優しいボーナス”活用術
株式会社Progate
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2019.01.09
従業員体験が変わるとチームが変わる。heyがEmployee Experience専門チームをつくった理由
ヘイ株式会社
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こんにちは!Unipos PRの柳川です。今回密着したのは株式会社ドリコム 執行役員マーケティング担当 兼 組織開発担当の土倉様と組織開発部の永菅様です。
誰一人正確に答えられない「企業理念」。
現場からは理解されにくい「価値観醸成プロジェクト」。
同社がかつて取り組もうとしていた組織開発は、思うように現場に浸透していきませんでした。今回お話を伺ったお二人は、そのような状況の中で、企業理念の浸透を目的とした「組織開発部」を立ち上げるまでに、社内の意識改革を行った立役者。一体どのような道のりを辿ったのか、プロジェクトの内情をきくにつれ、1,000名弱の現場メンバーを巻き込むために一番大切な組織開発の設計方法が見えてきました。
現在、組織開発部の皆様が取り組んでいらっしゃる企業理念や価値観の浸透に関するプロジェクトは、どのような経緯で始まったのでしょうか。
土倉様(以下、土倉):
ある日、代表取締役社長の内藤から、
「価値観醸成、やってくれない?」
と、たった一言チャットで送られてきたところからすべては始まりました。
どうやら内藤は、私に声をかける前に、有志を募って他のメンバーに声をかけていたようなのですが、断られていたみたいで(笑)私は社畜なところがあるので、社長の言うことは断れません(笑)早速、私が見ていたマーケティング本部のメンバーから有志を集めて、価値観醸成プロジェクトを立ち上げました。
これが、創業から17年間、事業戦略が明確に存在していた一方で、今まで目を向けて来れなかった組織戦略に、会社として真剣に向き合った瞬間でした。
「はじめ内藤の誘いを断ったメンバーも、私から改めて声をかけたら快諾してくれたんですけどね」と話しながら笑顔を見せる土倉様。
なぜ、これまであまり注力してこなかった組織戦略を実行しようと思われたのですか。
土倉:
一年で、100数十名もの中途社員が入り、異なる価値観同士の衝突が組織の至る所で発生したからです。ふと「俺の仕事ってヒューマントラブルを解決することなんだっけ…?」と疑問に思ってしまうくらい。
例えば、夜遅くまで仕事に励むメンバーが、ワークライフバランスを重視するメンバーに対して、「自分はこんなに忙しいのに、あいつはアフターファイブを楽しんでいる」といった負の感情を抱くこともありました。
高い目標を掲げて忙しく働いていると、組織に次第に蔓延してくる「自分ばかりが辛い」という空気感。人生の多くを占める仕事は楽しんだ方が良いに決まっているのに、この空気が「楽しむことは悪」という、ドリコムらしくない価値観を生んで、組織に悪影響を与えていたのです。
企業が拡大し、社長の目が現場に届かなくなっても、共に目指すビジョンやミッション、バリューを基準に各従業員が意思決定を重ねれば、同じ方向に向かうことができます。しかし現状のドリコムは、そうした共通認識がなくなってしまっていました。
実際、従業員エンゲージメント(*企業と従業員の相互理解・相思相愛度合い)を測るサーベイを行うと、私たちの理想とはかけ離れていたんです。でも、そんな状況も、伸び代しか存在しないチャンスだと捉えて、組織開発に本格的に取り組むことにしました。劇的に変えて、その実績を本にすることがゴールです(笑)
サーベイの結果が私たちの理想とかけ離れているということは、伸び代しかないということ。従業員エンゲージメントは、様々な施策に本気で取り組んで、劇的に上げていくつもりです。
取り組みを始める前、企業理念や価値観はどの程度浸透していたのでしょうか。
土倉:
ひどいものでしたね〜。企業理念自体はありましたが、従業員が普段の仕事の中で口にすることはなく、ガースー(永菅様の愛称)に至っては、社員総会など全社イベントを仕切っている立場にも関わらず、ミッション・ビジョン・バリューを正確に言えないという状況だったよね。言葉の順番やニュアンスを勝手に変えちゃったりして(笑)
永菅様(以下、永菅):
そうでした(苦笑)
当時、あまり浸透していなかったのは何故だとお考えですか。
土倉:
企業理念が、評価とも、社内制度とも紐づいておらず、理念が従業員の普段の行動と結びつかなかったからですね。加えて、以前のバリューは、横文字が7つ。これでは、覚えることすら難しい。実際、当時の取り組みの意図は、 なかなか現場からの理解を得られませんでした。同じように、我々の価値観醸成プロジェクトも一体何をやっているんだろうと思われていましたね。
もし、企業理念と採用・評価・育成・制度をすべて紐づけて、徹底的に一貫性を持たせれば、自然と現場へ浸透していきます。理念に共感した人だけが採用されれば定着率も上がり、逆に理念に共感できない人は自然と会社を離れます。1on1でも、理念に沿った従業員の行動を評価・育成すれば、面接官も入社希望者に対して会社の理念・価値観を正しく伝えられるようになるので、さらにミスマッチが減ります。好循環が生まれるんです。
理念の浸透は、一体どのように推進されたのですか。
土倉:
まずは、人事部長を巻き込んでミッション・ビジョン・バリューをきちんと明文化し、プロジェクト発足から半年後には、役員を巻き込んで浸透に向けて本格稼働しました。発足から一年が経ち、決算説明の中でも触れるくらい、会社全体が組織開発を戦略として重視するまでになりました。
たった一言で始まった有志のプロジェクトが、たった一年で全社を巻き込む組織へと進化したんですね。
具体的に、企業理念や価値観を浸透させるために、これまで注力してきたことはありますか。
土倉:
5年ほど前、互いに感謝を伝え合い、縦横斜めのコミュニケーションを促進させる文化をつくるため、サンクスカードという制度を導入しました。各社員が、日々の業務で感じた感謝の気持ちを手書きのカードで伝えるというもので、代表の内藤が毎月そのすべてに目を通して心に残ったエピソードを選び、社長賞としてピザギフト券(*社内で開催する懇親会でピザを買えるチケット)と一緒に手渡しして回るんです。今ではドリコムに欠かせない企業文化の一つとして根付いています。
もらったピザギフト券は、部署飲み会などで集めて、ピザ購入に利用する。毎月80枚ほど発行され、各プロダクトチームが月に一度はピザ会を開催してコミュニケーションを取っているそう。
土倉:
しかし、そのように定着している制度でも課題はありました。まず、選りすぐりのエピソードが社員の目に触れられていないことです。内藤が選んだサンクスカードはカフェスペースに掲示し、社員が目を通すことができるようにしていますが、カフェを使わない人の目には触れません。また、組織が急拡大する中で、内藤が毎月まとまった時間をサンクスカードの運用に割くことも難しくなってきており、その運用にも限界を感じていました。
そこで、サンクスカードの良き文化を、もっとオープンかつ手軽な形で広め、感謝・賞賛し合う中で、理念の浸透を実現できないかと考えていたところ、「Unipos」というピアボーナスサービスに出会い、ビビッときたんです。
「Unipos」のどこにビビッときたんですか。
土倉:
「Unipos」を使えば、従業員同士が「バリューを体現したエピソード」と共に、感謝・賞賛の気持ちやポイントをオープンな場でリアルタイムに送り合うことができます。さらにハッシュタグを使えば、バリューに紐づけてエピソードを見返すこともできます。そうすることで、バリューが具体的な行動と紐づき、理解・浸透を促進させることができるのです。
内藤をはじめ経営陣も、会議の隙間時間などに「Unipos」のアプリを開いて、今誰がどのようにバリューに沿った貢献をしているのかを確認し、気軽に「拍手(*SNSのいいね!に近い機能)」を送ることができるようになります。
これは、サンクスカードが抱えていた課題を一挙に解決し、私たちが目指す理念の浸透を効果的にサポートしてくれるサービスだと判断し、3つの部署でのテスト検証を経て、全社導入を決めました。
エンジニアやデザイナーが多くいるドリコムでは、こうしたシステムは内製することも多いそう。しかし今回は、「内製すると作りっぱなしになってしまうことも多いので、多くノウハウが蓄積されていき、絶えずシステムが改善されていく『Unipos』を導入することにした」。
「Unipos」で投稿されるバリューに紐づいた貢献をご覧になって、いかがですか。
土倉:
「Unipos」によってエピソードがオープンになったことで、今まで気がつかなかった新しい発見がたくさんありますね。例えば、会食後に顧客から「仕事も含めこれほど丁寧な対応をしてくれる会社を見たことがないです」といったお褒めの言葉をいただいた従業員がいたことを「Unipos」の投稿で知りました。
その従業員は見た目が少しチャラチャラした新卒3年目で、会食の場でドリコムのミッションである「人々の期待を超える」対応をしているということは、正直なところ意外でした(笑)ただ、彼に会食の研修をしたのは私なので、とても嬉しかったです。
これを機に新卒に行う会食のマナー研修は、会食の場できちんとドリコムのミッションを体現していた彼に引き継ぎました。
「Unipos」でミッションを体現している意外な従業員が発見され、抜擢へと繋がったんですね。
ミッションを体現し、会食の研修担当に抜擢されたメンバーが「先日、早速ジュースを入れたワイングラスを持ってマナー研修を頑張っていました。」と嬉しそうに語る土倉様。
永菅:
会社のエントランスで綺麗に咲き誇るお花に毎日水をやっているのは誰なのか、私は「Unipos」を導入する前までは知る由もありませんでした。従業員も増え、他部署の人の人となりや仕事ぶりが見えづらくなる中で、ドリコムには数多くの職責を超えて他者を思い遣る目に見えない気遣いがあると実感しました。
「Unipos」は、誰がどんな“ドリコムらしさ”を発揮して仕事をしているのかを知る良いきっかけになっています。
実際の投稿。「Unipos」でエントランスの花に水をあげていたアシスタントさんに感謝の言葉が送られた。
土倉:
「Unipos」の投稿を見ていると、感謝・賞賛されるべき人が、日々賞賛されているのが分かります。すべての褒め言葉や感謝の言葉が可視化されることによって、評価がフラットでフェアになるので、納得感が上がりますね。
「Unipos」でもらった投稿を見返してニヤニヤしながら眠りについている営業の女の子もいます。みんなの前で褒められて嬉しくない人はいませんよね。
「Unipos」で永菅さんが実際にもらった投稿。
代表の内藤はなかなか褒めないんですよ。私自身も褒められたことないんですけど、「Unipos」のおかげでついに褒めらるんじゃないかってドキドキしています。(笑)
「Unipos」は理念の浸透に寄与できていますか。
永菅:
寄与すると感じています。「Unipos」上には、弊社が大切にするミッションやバリューを体現した行動と、その行動に対する賞賛の気持ちが分かりやすく並びます。社内表彰制度の評価基準もミッションやバリューに基づいて定めているので、受賞候補者の推薦を担うマネージャーは、Uniposに投稿されたエピソードを参考に推薦できます。こうして、皆が「ドリコムではこういう行動をすると評価・表彰されるのだ」と、ミッションとバリューへの理解を深めることができるのです。
「Unipos」は理念浸透の好循環を生み出すきっかけになっていくと思います。組織が急拡大する中でも、一体感のある組織の組成・維持に取り組みたい企業様におすすめしたいです!
ピアボーナス制度に、独自のネーミングをされたそうですね。
永菅:
はい。ピアボーナス制度名は「みかんばこ」と名付けました。ドリコムには、われわれのミッションである「with entertainment~人々の期待を超える」をわかりやすくエピソードにした「カレーライスとみかんの話」というものがあります。この話の中で、「みかん」は「期待を超えるもの」の象徴として登場します。
社内の会議室の名前などにも柑橘系の名前が使われていて、われわれにとってみかんは身近な存在なのです。そんなみかんにちなんで、期待を超える行動やバリューを体現したエピソード=みかんを「Unipos」という箱にぎっしり詰めていきたいという想いからこのような名前を付けました。
このように、ドリコムらしさを「Unipos」に反映しながら、たくさんのみかんがぎっしり詰まった「みかんばこ」を作っていきたいと思います。
株式会社ドリコム ホームページより引用
期待をはるかに超える、素敵なエピソードばかりでした。ありがとうございました!
(写真左)
株式会社ドリコム 執行役員マーケティング担当 兼 組織開発担当
土倉康平(つちくらこうへい)様
エンタテインメント企業でのマーケティング、広告代理店でのアカウントエグゼクティブ
を経て2012年にドリコムにマーケティング部長として入社。ドリコムの主力タイトルであるビックIPのネイティブアプリのゲーム化権を獲得するなどマーケティング組織の体制拡大に従事。2016年、子会社であるドリコム沖縄の設立。2017年10月に強い組織を作らなくては勝てないという想いから組織開発本部を立ち上げ、現在は執行役員として、広告事業、マーケティング、組織開発、情報システム、総務を管掌し、ドリコム沖縄の代表取締役社長を兼務。
(写真右)
株式会社ドリコム 組織開発部
永菅将也(ながすがまさや)様
大学卒業後、株式会社ドリコムへ入社。学生時代に「経営学」「組織論」を専攻していたこと、ゆくゆくは経営に携わるような仕事をしたいという入社前からの想いもあり、経営者と従業員の架け橋となり、全社戦略をもとに「戦略の浸透」「従業員のモチベーション向上施策の企画設計と運営、組織風土作りのインナーコミュニケーション全般」周りのミッションに従事。
株式会社ドリコムはコミュニケーションを軸に、モバイル向けコンテンツやインターネット広告など、様々なサービスの企画・開発を行うインターネットにおける「ものづくり企業」です。
ゲーム事業を主軸としながら広告事業、最近はCtoC領域にもチャレンジしています。すべての事業の前提として人と人がインターネットを介してつながることによって新しい体験が産まれるという考えのもと、ドリコムは人々の期待を超える「発明」を産み続ける会社として人々の生活を変えるような、皆様に新しい価値を感じてもらえるような「ものづくり」にチャレンジし続けています。
■設立:2001年11月13日
■資本金:1,694百万円 ※2018年3月31日時点
■社員数:420名 (正社員・契約社員のみ)※2018年3月31日時点
■事業内容:ゲーム事業、広告・メディア事業
■証券コード:3793 東証マザーズ