2018.12.11
Slackでは拾えない社内の様子を可視化!

起業家・家入一真さんが2011年に創業した国内最大規模のクラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」。事業の拡大と組織体制の変更により社員間のコミュニケーションが見えにくくなっていたという同社が、組織活性化のために導入したのがUniposでした。今回、家入さんにUnipos導入の効果、及び組織内コミュニケーションに関する哲学について伺いました。起業家、あるいは起業を目指す方にとって必見のお話です。
もともとUniposのようなサービスを考えていた
――Uniposを導入しようと思ったきっかけを教えてください。
家入:実はもともと僕らもUniposに似たプロダクトを考えていた時期があって、実際に社内のサブプロジェクトとして開発していたんですよ。
――そうだったのですか!
家入:CAMPFIRE自体がお金の流れをなめらかにすることを目指ししているサービスなので、その思想の延長線上としては自然な流れだったと思います。そのプロダクトは、ビットコインをSlack上で送り合うことができる「OKIMOCHI」というものでした。
――たしかにUniposに近い仕組みですね。
家入:ただ、実際にやろうとすると大変でした。受け取るのにもビットコインのウォレットが必要だったり、そこまでたどり着けない人もいたり、運用も大変だったりで、ちょっと難しかったんですね。
で、それとは別にSlack内には「#homete(褒めて)」っていうチャンネルがあったんですよ。そこは自己申告で褒めてほしいことを報告したり、逆に「ゴミ捨ててくれてありがとう」みたいなちょっとした感謝を書き込む場所だったんですね。こっちもUniposにちょっと似ているんですけど、でもそこにポイントのようなインセンティブはありませんでした。
そういうことをやっている中でUniposが出てきて、「あ、ちゃんとしたやつが出たぞ」と(笑)。
――(笑)。
家入:メルカリの山田くんやBASEの鶴岡くんと仲が良くて、よくご飯に行くのですが、そこでUniposを入れたら良かったという話を聞いたんです。それですぐウチも入れたい! と総務担当者に伝えました。ちょうどバタバタしていた時期だったこともあって導入まで少し時間がかかったのですが、「まだ? まだ?」と言い続けて(笑)。
Slackでは拾えない社内の様子を可視化できた
――Uniposのどういうところに惹かれたのでしょう。
家入:うちはリモートで働いているメンバーや頻繁に出張するメンバーがいます。そもそも僕自身が社内にいないことも多い。そうしたなかでコミュニケーションの中心になっているのはやはりSlackです。
ただ、Slackって積極的に発言する人とそうじゃない人に分かれるんですよ。もちろん見てはいるんだけど、なかなかSlack上に出てこない人もいます。彼らが誰とつながっているのか、どういうことで感謝されているのか、そういったSlackでは拾えない部分を可視化できるんじゃないかとUniposに期待していました。
もう一つやりたかったのは、「CAMPFIRE WAY」という行動指針をハッシュタグ化して、ポイントをたくさんもらった人を表彰するMVP制度をつくること。これはBASEの鶴岡くんがやっていて良いなと思いました。年末の忘年会あたりから始めてみたいなと思っています。Uniposはガチガチなシステムじゃない分、運用でいろいろ工夫できるのが良いですよね。
――ありがとうございます。導入の効果はいかがでしょう。
家入:スタッフの皆も導入初日からスムーズに使い始めてくれました。ポイントを使い切るのも早くて、特に若いメンバーが積極的に使ってくれていますね。
投稿の内容は業務に関することはもちろん、「ケーキ差し入れありがとう」とか「ゴミ捨ててくれてありがとう」とか、本当に様々です。まさに期待通りの使い方です。だって、他部署の差し入れのことなんて普段わからないじゃないですか(笑)。
それから、Uniposが話のきっかけにもなるという間接的な効果もあるようです。「今日ランチ一緒に行ってくれてありがとう」という投稿を見た後でエレベーターで一緒になったら、「見ましたよ、良い感じのお店ですね。今度一緒に行きましょうよ」とか誘ったりして。これもUniposがなかったら生まれなかったコミュニケーションです。
もともとCAMPFIREは職能制だったのですが、事業が拡大したこともあり、最近になって事業部制に変えたんです。事業部制にはメリットもありますが、よく言われるように事業部単位で分断してしまうというデメリットもあるんですよね。Uniposは事業部をまたいだコミュニケーションを実現できるので、事業部制のデメリットをうまくカバーしてくれるツールだと思います。
――家入さんご自身の使い方について教えていただけますか。
家入:わりと皆と同じ感じだと思いますが、わかりやすく評価されやすいことよりも、地味で見つけられにくい良いことを見たときに積極的にポイントを送ることにしています。
たとえば会議室のテーブルにコーヒーが出しっぱなしだったから片付けましたとか、そういうのってやってくれる人は何も言わずにやってくれるんですよね。すごくありがたいことなのに評価されにくいんです。僕はそういうところにポイントを送っています。
――トップの方がそういった細かいところまで見てくれているのは嬉しいですよね。
家入:僕がポイントを送ることで、その人の行いが可視化されて他の皆にも伝わるんですよね。それはすごく良いことだと思います。ちなみにUniposを導入したときは、担当者に「Unipos導入ありがとう」のUniposを送りました(笑)。新しいツールを入れたときはついツールの方に目が行きがちなんだけど、その裏にはツールを入れるためにがんばってくれた人がいるわけですからね。
ベンチャー企業経営者からの相談のほとんどは「人」に関すること
――家入さんはこれまでにいくつもの会社を創業され、組織をつくってこられました。組織内コミュニケーションに対してのお考えを教えてください。
家入:うーん……そうですね……。僕は今も昔も「僕が引っ張って皆がついてくる」っていう構図が苦手で、もちろん何かあった時は社長として責任を取りますが、会社経営にしてもサービスにしても、「こうしたいんだけど、皆で一緒にやろうよ」という感覚なんです。
定例会とかで社長として何か一言いわないといけなかったりもするんですが、それがすごく苦手で。やらざるを得ないから言うんだけど、途中で何言ってるかわからなくなって尻すぼみで終わったり(笑)。
会社をつくって良かったなと思う瞬間は、皆で飲み会なんかをして、楽しそうに交流している様子を端っこで見ているときなんです。
――家入さんが中心になって交流されるのではなく?
家入:そう、見ている方が好き。できることなら話しかけてほしくない(笑)。なんというか、親みたいな感覚なんですよね。それは年齢って意味じゃなくて、社員は自分の子どものような感覚なんです。自分が中心にいたいわけじゃないし、カリスマ性で引っ張るタイプではない。そんな自分の弱みを含めてさらけ出してコミュニケーションできる組織が理想です。
――ベンチャー企業の経営者などから相談を受けることも多いと思います。コミュニケーションに関する悩みについてはどのようにアドバイスされていますか?
家入:実際のところ、相談のほとんどはコミュニケーションに関する悩みなんですよ。創業メンバーとうまくいかないとか、誰にも相談できる人がいないとか。事業面よりは人や組織、マネジメントに関する相談が多いですね。
僕がずっと会社をやってきて思うのは、こうすれば全部解決するというやり方はないってこと。10人の組織なら10人なりの悩みあるし、100人でも300人でもそう。フェーズによっても変わります。だいたい問題が起きているときというのは、複合的にいろいろな問題が絡み合っているんですよ。
――会社のフェーズが変わり、組織が変化したときに問題が起きやすいと言えるのかもしれませんね。
家入:成長スピードのズレが問題になることは多いですね。たとえばベンチャー企業が成長するとき、3つのスピードが存在します。会社や事業の成長スピード、経営者の成長スピード、従業員の成長スピードです。これらが一緒にスピードアップしているときはいいのですが、停滞期を迎えたときに問題が起きやすい。疲れて離脱する人もいるし、経営者自身も会社の成長と自分の成長のスピードがちぐはぐになってしまうことがあります。組織の雰囲気が悪くなるのはそういうときです。
問題が起きない組織なんてないんですよ。何かしら問題はあるし、その時々で向き合っていくしかない。コミュニケーションについてアドバイスできるとしたら一つだけ。その問題と向き合い続けることなんです。
――向き合うためのポイントは何でしょうか。
家入:今何が起きているのか、可視化することです。Uniposはまさにそれができるツールですよね。実は僕はUniposに注目しつつも、導入前はどこか懐疑的だったんです。Uniposを入れて本当に良くなるのかな? って。だけど入れてみると確かに効果が出ているし、皆さんもぜひ入れてみるといいんじゃないかなと思います。
一方でUniposはあくまでもツールです。入れたから一気に何もかもうまくいくわけではありません。どう運用していくかが大事。そのためには経営陣やマネージャー層がしっかりコミットしていかないといけません。
――今後の活用についての展望を聞かせてください。
家入:CAMPFIREは新たに宮崎オフィスをつくり、積極的に採用も進めています。東京と宮崎で距離が離れてしまうと、どうしても互いのオフィスの雰囲気がわからなかったりするので、そういった遠隔オフィス間でUniposが飛び交うといいなと思っています。
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