2021.03.25
“客先常駐”の社員が多く、コミュニケーションロスを懸念

システムインテグレーションサービスを中核にしたトータルサポートを、中央省庁・独立行政法人向けに提供する日本電算企画株式会社。業務の性質上、クライアント先に常駐することが多く、社員同士のコミュニケーションが希薄になりがちだったことに課題感を持った同社は、課題解決のためにUniposを導入。その結果、感謝と称賛が増えたことにより社員のモチベーションがアップしたといいます。さらに、その光景を見て、これまで「仕事なんだからできて当たり前」という考えを持っていたベテラン社員の意識も変わり、承認の重要性に気づけたそうです。同社によると、「予想の3割増しくらいのインパクトで社内のコミュニケーションが活性化した」とのこと。
今回は、Uniposをスムーズに現場に浸透させたポイントや、活用を促すための工夫などについて、システム開発部門・部長の田中 久則 氏とコンサルティング部の神田 莉穂 氏に伺いました。
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- 導入前の課題感:社員がクライアント先に常駐するため、コミュニケーションが希薄。コロナ禍によりさらに加速。
- 活用方法 :現場の意見を収集しUniposの活用に反映する
- 運用のポイント:「お誕生日通知サービス」などの取り組みで社員がUniposに触れる機会を増やす
- 導入後の効果 :
①普段は疎遠な人同士や上司・部下間での会話が増えコミュニケーションが活性化
②小さな貢献が可視化され、社員のモチベーションアップにつながった
③感謝と称賛でモチベーションが上がる社員を目の当たりにしたことが、ベテラン社員の意識改革につながった
④今まで知らなかった部署や社員のことがわかるようになった
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“客先常駐”の社員が多く、コミュニケーションロスを懸念
――Uniposを導入するきっかけとなった組織課題は何だったのでしょうか。
田中:以前から社員間のコミュニケーションが希薄化しており、しかもそれが常態化して社員にとっても当たり前になってしまっているのではないかという懸念を持っていました。というのも、社員の多くは客先に常駐して仕事をします。プロジェクトの多くは長期にわたるため、本社にはほとんど戻ってきません。そうなると、プロジェクトメンバー以外と交流することもなく、コミュニケーションロスが起きてしまうのです。
課題が表面化したきっかけはコロナ禍です。もともと会う機会が少なかったのに、さらにテレワークで顔を合わせることが減り、忘年会や歓送迎会の中止も重なって、どんどんコミュニケーションが失われていることに危機感を持ちました。リモート会議ではどうしても思いを伝えきれないところもあり、画面越しに話していても「本当にそう思ってくれているのかな」という不安感を皆が持っていたと思います。私自身はそれまで「プロジェクト単位でコミュニケーションがとれているならそれでいいんじゃないか」と思っていたのですが、皆が不安に思っているのを見て、その考え方は変えないといけないなと感じたのです。
最初はTeamsでチャットすればコミュニケーションが深まるのではと思っていたのですが、Teamsの会話は業務のやり取りだけになってしまいます。Teamsのチャットでは、雑談で皆が盛り上がるような状況は生まれにくいことがわかりました。そこで対策となるようなソリューションをいろいろと調べていたところ、Uniposにたどりつきました。
――Uniposの印象はいかがでしたか?
田中:国内導入企業350社以上(2023年1月時点)の実績があり、導入前・導入後の支援が充実していたことが安心材料になりました。また、Uniposの代表の斉藤さんが毎週開催されているウェビナーを何度も拝見して、ぜひ導入したいと思いました。そこから弊社の代表に提案し、2020年12月に導入しました。
――田中様がUnipos導入推進者を担当されることになった経緯をお聞かせください。
田中:私はシステム開発部門の部長を務めています。本来、Uniposの導入は総務の仕事なのかもしれませんが、社長に提案したのもFringe81の担当者さんとやりとりしていたのも私でしたから、最後までやり遂げるために導入推進者をやらせてもらうことにしました。
全社員の3分の1が現場浸透チームに参加、周囲を巻き込みながらUniposを導入
――どのようにUniposの導入を進めていったのでしょうか。
田中:迅速に方針を決められるように、役員と部長陣には全員、導入推進チームに入ってもらいました。また、現場への浸透は現場浸透チームをつくって進めていきました。
――現場浸透チームはどのように選ばれたのでしょう。
田中:現場浸透チームはプロジェクトごとに最低1名を選出しました。同じプロジェクトで常駐場所が異なることもあるので、その場合は場所ごとに最低1名を配置しました。さらに「社員会」のメンバーにも入ってもらいました。結果的に全社員の3分の1が現場浸透チームに参加することになりました。
――うまく周囲を巻き込みながら導入を進めていかれたのですね。「社員会」とはどんなチームですか?
田中:社内行事を取り仕切ったり、社員と会社の橋渡しを行ったりするチームです。ここにいる神田も社員会のメンバーです。
導入目的を何度も丁寧に説明、動画でも公開して理解を求めた
――Uniposの導入にあたり、懸念点はありましたか?
田中:コロナ禍で社員が集まれないため、Unipos導入についての説明会を開催できませんでした。メールでの資料配布とリモート会議だけで、導入目的をしっかり伝えられるのかが不安でしたね。
――実際に導入を進めてみていかがでしたか。
田中:Uniposの導入目的資料を社員に配布し、「導入目的は伝わったか?」とヒアリングしたところ、「いまいち理解できない」という反応が多く出ました。
これはまずいぞ、と思いました。本来なら社員への説明のあとに現場浸透チームによるミーティングを開催するつもりだったのですが、その前に手を打たなければ失敗すると直感しました。
そこで実施したのが、現場浸透チームを対象とした導入目的説明会です。数回に分けてリモートで開催し、質問にもしっかり回答して、導入目的を理解してもらうことに努めました。さらに、そのリモート説明会の録画データを社内で公開し、仕事の都合で出席できなかったメンバーにも閲覧してもらえるよう配慮しました。その結果、社員にはしっかりと導入目的を理解してもらうことができ、現場への浸透を進められました。
今になって思うのは、「社員がどう思うか、どう感じるか」を大切にした点が導入成功のポイントだったということです。特に現場浸透チームに、現場と経営の橋渡しとなる社員会が入ってくれたおかげで、役員や部長陣と現場の間でシームレスな意見交換ができたと思います。導入後も社員会からの改善提案を受けながら、運営方法を柔軟に見直しています。
――Uniposに対して現場の皆さんの反響はいかがでしたか。
神田:導入から1ヶ月後にUniposについてのアンケートを実施しました。もちろん、100%良い反応ということはありえませんが、ほとんどの社員は好意的に捉えてくれているようです。たとえばこんな意見をもらっています。
「コミュニケーションのために利用するだけでなく、部署ごとの特徴を分析して関係改善を図れるソリューションだと感じた」
「今まで知り得なかった他の部署の人たちの働きをタイムラインから知れるようになった」
「感謝の気持ちを伝えやすくなった」
「些細なことも投稿できるので、普段疎遠な人と気軽にコミュニケーションがとれるようになった」
「普段なかなかお礼を言えないような上司や後輩にお礼を言えるので、何となく雰囲気が明るくなった」
「普段指導する立場である先輩が、このツールで後輩に感謝の気持ちを伝えることで、後輩のモチベーションが上がるのではないかと思った」
ハッシュタグ運用や「お誕生日通知サービス」で現場浸透を加速
――ここからはUniposの運用についてお聞きします。御社ならではだと感じるUniposの使い方はありますか?
田中:ハッシュタグの決め方は弊社らしい点かなと思います。たとえば、最初に「#さすが」というハッシュタグを用意していたのですが、このタグは先輩や上司には使いづらいという意見が若手社員から挙がってきたのです。たしかに言われてみればそうだなと納得して、「#尊敬」を追加しました。「先輩に使いづらい」という発想は、勤務年数が長い私にはなかったものです。若い社員の意見は大事だなと思いましたね。
神田:ハッシュタグに関しては使われている頻度や社員の意見を聞いて、削除や追加を行っています。たとえば「#電話応答感謝」や「#顧客打ち合わせの準備感謝です」は「#感謝」に統合する予定です。また、「#初投稿」は一度しか使わないタグなので不要だと判断し、これも削除することにしました。一方で「#同期」などは社員から使いたいという声が挙がったので追加する予定です。
田中:あとは、「お誕生日通知サービス」も弊社らしい取り組みかもしれませんね。
――お誕生日通知サービスとはどのような取り組みですか?
神田:希望者のみを対象に始めた施策です。まず、「Unipos誕生日メールリスト」の登録フォームに自分の誕生日を登録します。すると、自分の誕生日に「本日、○月○日にお誕生日を迎えた仲間がいます! Uniposからお誕生日メッセージを贈ってみませんか!」というメッセージが他の社員に自動で送信される仕組みです。
――素敵な取り組みです!
神田:お誕生日にUniposを送ることで、その人との会話が生まれます。仮にお祝いされているのが知らない人だった場合、メッセージは送りづらいかもしれませんが、他の人の投稿に拍手することはできます。それがまたコミュニケーションのきっかけになるんです。
田中:もしUniposがマンネリ化して利用率が下がることがあった場合、自然な形でUniposの利用につなげられるお誕生日通知サービスは良い活性施策になると思いますね。
――やはりお誕生日にはUniposが普段よりも盛り上がっている印象ですか?
神田:そうですね。誕生日の当人にUniposで送れるポイント上限は10ptにしているのですが、拍手もたくさんつくので、結果的にたくさんのUniposが送られて盛り上がっています。
貢献が認められるようになり社員のモチベーションがアップ。ベテラン社員の意識改革も
――Uniposの導入効果についてお聞きします。Uniposを導入した結果、組織課題は解決されたでしょうか。
田中:コミュニケーションの希薄化という課題はかなり解消できたと思っています。サーベイなど定量的な数値を取っているわけではありませんが、私の体感では想像していたよりも3割増しくらいで効果が出ていると感じます。良い意味で予想を裏切ってくれた社員も多いです。「たぶん、あの人はUniposは苦手なタイプだろうな」と思っていた人が積極的に使ってくれてコミュニケーションしているのを見ると、導入して良かったなと思いますね。
神田:コミュニケーションが見えるようになったことで、自部署を改善するきっかけにもなっていると思います。「他の部署はあんなに盛り上がっているのに、うちの部署は投稿が少なくない?」みたいに気づきが得られるんです。
もう1つの導入効果は、小さな貢献を認めてもらえるようになったことです。日常の小さな貢献って、あまり感謝されることがないですよね。でも、Uniposを導入してからは、そんな小さな貢献を見た人がポイントを送ってくれて、社内にも知ってもらえるようになりました。すごくモチベーションアップにつながっています。
田中:Uniposの導入効果については弊社の代表もとても満足していまして、他社さんとの管理部向け情報交換会でもUniposについて発表したんですよ。出席されていた他社管理職の方々からもたくさんの質問が寄せられるなど非常に注目されました。
――Uniposの導入プロジェクトを進めたことで、ご自身にプラスになったことはありますか。
田中:導入を進めたことで一番変わったのは自分自身だと感じています。「社員を褒めて承認欲求を満たすべき」という考え方はもう10年以上前から言われていたことではあったのですが、私は、「そうはいっても仕事なんだからできて当たり前。過程を褒めるのではなく、成果を褒めよう」と思っていました。
しかし、Uniposの導入を進めていく中で、今まで接点がなかった若い社員と接する機会が増え、「若手のモチベーションを高めるためには仕事の過程も褒めてやることが大切」ということに気づけたんです。Uniposは私にとって、良い自己変革の機会を与えてくれました。
――今後、Uniposに期待することはありますか。
田中:Uniposによって会社が変わっていくサイクルは次のような流れだと私は考えています。
①褒めてもらえる → ②自分を見てくれている → ③自己承認欲求を満たせる → ④エンゲージメントが高まる → ⑤会社の雰囲気が良くなる → ⑥リファラル(社員による紹介)採用増える → ⑦離職率下がる
Unipos導入以来、会社全体として「感謝を示す行動」が増えていると感じています。おそらく、今は「②自分を見てくれている」の段階でしょう。ここからどうやって「③自己承認欲求を満たせる」に持っていけるかが鍵だと考えています。今後、考課などのタイミングでUniposの投稿から「こんなことがあったんだね。よかったね」といった会話が生まれることで、「②自分を見てくれている」から「③自己承認欲求を満たせる」にステップアップできることを期待しています。
おそらく「③自己承認欲求を満たせる」を達成すれば、「④エンゲージメントが高まる」以降の流れはスムーズに進むのではないでしょうか。おそらく導入から半年くらいで「④エンゲージメントが高まる」段階に入ると予想しています。その段階までくれば、Uniposの定量成果について検討していきたいと考えています。
――ありがとうございました。
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