2023.12.18

組織風土の劣化を改善し、“称賛マインド”で一体感のある組織へ

まとめ

  • 品質不適切行為の原因の1つである組織風土の劣化を改善
  • エンゲージメントサーベイのコミュニケーション関連項目が向上
  • 組織の一体感を醸成する“称賛マインド”が根付き、三菱電機全社にも波及中
  • Facebook
  • X

三菱電機様で2021年に判明した品質不適切行為。その原因の1つは組織風土が劣化していることであり、背景にあるのは縦と横のコミュニケーション不足だったといいます。こうした組織状態の改善を目指して、三菱電機様では「全社変革プロジェクト」を発足させ、様々な施策に取り組んでこられました。

そんな施策の1つとして、姫路地区の先進応用開発センターで導入されたのがUniposです。同センターでは、Unipos導入から数ヶ月でエンゲージメントサーベイが向上するなど、大きな効果が出ているといいます。

同センターはなぜUniposを導入したのか。Uniposのどのような点が組織風土改革に効果的だったのか。導入の経緯と効果について、三菱電機 先進応用開発センター センター長 兼) 本社 DXイノベーションセンター 副センター長・田中昭二様、戦略企画部 計画・業務グループマネージャー・古川浩保様、全社変革プロジェクトグループ 専任 兼 自動車機器事業本部変革プロジェクトグループ 専任 兼 姫電変革プロジェクトグループ 専任(統括)・井出朋様にお聞きしました(以下、敬称略)。
※肩書は取材当時(2023年11月)

組織風土劣化の改善を目指してUniposを導入


――まず、三菱電機 先進応用開発センターについて教えてください。

田中:先進応用開発センターは自動車機器開発センターを前身とする組織として2023年10月1日に発足しました。これまでに培ってきた自動運転やセンシング技術、制御技術、パワーエレクトロニクス技術、さらにAIやクラウドの技術を生かして開発に取り組んでいます。

――2022年11月より、先進応用開発センターにてUniposをご導入いただいています。Uniposを導入するきっかけとなった組織課題は何だったのでしょうか。

田中:三菱電機では2021年に判明した品質不適切行為について、原因究明と再発防止に取り組んできました。その中で大きな原因の1つとして指摘されたのが、当社の組織風土劣化です。2021年10月からは、社長をプロジェクトリーダーとする、全社変革プロジェクト「チーム創生」を立ち上げ、「上にものが言える風土」「失敗を許容する風土」「共に課題を解決する風土」の醸成を最優先の課題として取り組んできました。

風土劣化の原因について、最初は上司部下といった縦のラインの劣化が問題だと思っていたのですが、いろいろと現場の話を聞いてみると、意外なことに横のつながりもあまり良い状態とはいえないことがわかりました。もちろん、ビジネスライクな会話はありました。でも、心が通じ合っていたかというと、そうではなかったような気がします。



――具体的にどのような状況だったのでしょうか。

田中:まず、気になったのは「ありがとう」の言葉がないことです。普通なら当たり前に出てきそうな言葉なのに、当時の社内ではあまり聞こえてきませんでした。また、社内には事務職など普段は光の当たりにくいメンバーもたくさんいるのですが、そうした“縁の下の力持ち”に対しても感謝の言葉がない状況がありました。

この2つの問題はつながってもいます。たとえば、発表会だと人前に立って華々しく発表する人にスポットライトが当たりますが、その陰には発表会に向けて事務的な業務を行ってくれる人がいます。その人たちがいるからこそ、発表者も安心して人前に立てるのです。でも、その裏方の人たちに対しての感謝があまりなかったように思います。

社内に感謝・称賛文化を根付かせ、普段光の当たらないメンバーにスポットライトを当てられる施策がないか探していたところ、井出からUniposを紹介されたのです。

井出:私はもともと社長直下の風土改革プロジェクトである「全社変革プロジェクト」のメンバーとして活動しており、姫路地区の先進応用開発センターと姫路製作所の改革を担当していました。そこで勉強のために同じように組織を変革した会社を探したところ、UACJさんの事例を見つけたのです。

UACJさんに連絡して風土改革の中心メンバーだった方に「どんなふうに組織風土改革を進めたのか」を尋ねたところ、ご紹介いただいたのがUniposでした。組織風土劣化の改善や、光の当たらないメンバーにスポットライトを当てたいという組織課題については、以前から田中より相談を受けていたこともあり、Uniposならぴったりだと思って導入を提案しました。何より、UACJさんのように真面目な社風の会社で成功している点は大きかったですね。

――どのような組織づくりを目指し、そこにUniposがどのように役立つと考えたのでしょうか。

田中:同じ想いを共有して1つの目標に向け挑戦できる組織、一言でいうなら“一体感”のある組織を目指したいと考えています。そのためにはメンバーがお互いに思いやりを持つことが大切です。たとえば、業務を後工程に渡す際も、自分のことだけ考えて渡すのと、後工程の人がやりやすいように考えて渡すのとではその後の関係性が違ってきます。お互いがお互いのことを考え、個々人ではなく組織としてパフォーマンスを出していくことが重要なんです。

こうしたワンチームの組織を目指すには、まずはいろいろな角度でメンバーのことを知らなければなりません。そこで役立つのがUniposです。Uniposでやりとりされる感謝や称賛は、組織内の人間関係を可視化するための重要な情報なんです。

感謝・称賛に特化したサービスでなければ、組織文化の醸成は難しい


――Unipos以外の施策やツールの導入は検討されましたか。

古川:施策についてはいくつかコミュニケーション活性化のために実施しているものがあります。たとえば、センター長とメンバーが直接話す場である「CM座談会」や、センター全体で集まって相互に技術の説明をする「技術交流会」、先進応用開発センターの社内サイトに自己紹介ページを設けてメンバーを紹介するなどの相互理解を促進する取り組みを行っています。一方でUnipos以外の特定のツールやサービスについては導入しておりません。

田中:その月に活躍した従業員を表彰する月間MVPのような制度も提案したのですが、従業員からは「そうじゃない」と指摘されて(笑)。なぜかというと、月間MVPだと結局、特定の1人がフィーチャーされるだけになってしまうからです。そうではなくて、全員に光があたる施策を求めていたんです。その点、Uniposはメンバー同士の感謝や称賛が全員に対してオープンになっており、さらにやりとりがリアルタイムに見えることで、一部の社員に感謝が偏りにくいです。表彰制度とはこの点が決定的に違います。

井出:当社で導入しているTeamsにも称賛機能があります。ただ、Teamsの称賛機能は業務のやりとりの中に入ってくる仕様なんです。また、称賛する際に送る画像もサイズが大きくて目立つので、たとえば会議の途中なんかに送られたら、「いやいや、別に褒めてほしいわけじゃないので……」という反応をしてしまいます。でも、本当は褒めてほしいんですよ(笑)。


――たしかに業務と同じやりとりの中に感謝や称賛のコメントが入ってくると、大げさに感じてしまう人も出てきそうですね。

井出:そうですね。イメージとしては、SNSの「いいね」くらいの気軽な感謝・称賛をもらえれば満足なんです。だから別に業務だけじゃなく、それ以外の些細なエピソードにだって感謝・称賛を送りたい。でも、業務で使っているTeamsだと、業務以外の話題は投稿しにくいです。その点、Uniposは感謝・称賛を送り合うことに特化しているので投稿するのにハードルを感じないし、SNSのような「ハッシュタグ」機能でちょっとした遊び心も加えられるので、投稿者の人柄も伝わってきます。社員に気軽に使ってもらいながら、感謝や称賛文化を醸成するのに、Uniposはベストなサービスといえます。


▲ハッシュタグを活用して投稿を実際に送られている投稿。細字のハッシュタグは投稿者が加えたものです!

――導入はスムーズに進みましたか?

古川:そう思います。特にUnipos社のサポートに助けられました。定期的にミーティングを開いて、スムーズに導入を進めるための様々なご提案をいただくなど、しっかりと伴走していただきました。また、担当者の方がうまく褒めてくださるので(笑)、運営チームとしてもモチベーションを高く保てましたね。

硬直した組織を感謝・称賛の力でもみほぐす。それが組織風土改革の土台に

――Uniposを導入した結果、組織課題はどう改善されたでしょうか。

田中:Uniposを導入してから3ヶ月後にとったエンゲージメントサーベイでは、「感謝をもらう機会が十分にある」、「上司とコミュニケーションがとれている」といったコミュニケーションの関連項目が向上していました。その後もサーベイを取っていますが、現在も高い水準でキープできています。

もちろん、これらはUniposだけでなく、CM座談会や技術交流会などその他の施策も合わせた効果です。ただ、Uniposがそのきっかけとなる役割を果たしていることは間違いありません。

Uniposはいわば“マッサージ”のようなものだと私は感じています。凝り固まった組織のコミュニケーションをUniposの感謝・称賛の力が解きほぐし、組織風土が改善する土台を作ってくれるのです。

実際、Uniposを導入するまでは「直接褒めるなんて恥ずかしい」という人がたくさんいたんですよ。特に年配の社員は若手の頃から褒めることにも褒められることにも慣れていないですからね。でも、そういう人たちがUniposを使うことでほぐされていって、気軽に感謝・称賛を送れるようになっていったんです。

古川:私自身がまさにその世代です(笑)。メンバーのモチベーション向上は管理職の責務の1つですが、簡単ではありません。私も人付き合いが得意な方ではないし、口下手なのでなおさらです。そんな私にとっては、Uniposを活用して文章で表現する方が、一呼吸おいて整理できる分、伝えやすかったりするんですよね。

井出:私は田中センター長の言う「一体感」という言葉が好きなんです。組織が一体感を持てるのは、そこにエネルギーがあるからで、エネルギーの源になるのが「称賛」だと思っています。


▲田中センター長が使う「一体感」が使われた投稿。困難な状況に全員で向き合ってきた様子がわかる熱い投稿に拍手も集まっています。

実は今、三菱電機の様々な拠点で「称賛がチームのエネルギー源になる」という意識が高まってきているんです。こうした機運の高まりのきっかけになったのは、先進応用開発センターにおけるUniposの取り組みだと思います。全社変革プロジェクトの担当者として、三菱電機の中で先進応用開発センターが最初にUniposを導入できたことを嬉しく思います。

三菱電機全体に“称賛マインド”を広げていきたい


――Uniposのさらなる活用や組織づくりなど、今後の展望についても教えてください。

古川:CM座談会や技術交流会など、リアルな場での取り組みとUniposを連携した取り組みもやってみたいと思っています。あるいはUniposをの投稿を活用した表彰制度の設計など、いろいろと次の手を打っていきたいですね。Uniposの投稿をきっかけに誰かの挑戦や工夫を知って「自分も挑戦してみよう」と、行動が変わるケースが出てきました。次はこの意識をみんなが持つ自律型の組織にすることだと私自身は考えています。

井出:私は三菱電機全体に“称賛マインド”を伝えていきたいです。具体的にはこれからですが、たとえばワークショップを開催するのもよさそうですね。

田中:当社ではこれからも企業としてのアイデンティティを大切にしながら、社会課題の解決といった大義に向かって取り組んでいきたいと考えています。そのためには井出が申し上げたように、一体感とそのためのエネルギーが必要です。このエネルギーを組織に注入するために、今後もUniposを活用していきたいと思います。


――ありがとうございました。

記載されている役職・在籍やUniposの機能・UIについてはインタビュー当時のものです。

マネジメント改善や離職防止を推進をされる方向けに役立つ資料をご用意いたしました

管理職を育成し、
離職させない3つの方法

マネジメントの負担軽減とモチベーション向上の方法などがわかる資料がすぐにダウンロードできます。

ダウンロードはこちら